私がミュージカルについて熱く語っていると、
友人に「そもそもトニー賞って何?」と聞かれることがあります。
 
演劇界のトップアワード、「トニー賞」を説明するにあたって、
そもそもEGOTについて説明したほうが分かりやすいので、
こちらにまとめておきます。
 
EGOTとは、アメリカのショウビズ4大アワードの総称です。
 
Eはエミー賞、Gはグラミー賞、Oはオスカー(アカデミー賞)、Tがトニー賞ですね。
オードリー・ヘップバーン、ウーピー・ゴールドバーグなど、
全ての賞を受賞したことがある人を「EGOT」と呼ぶ時もあります。

エルトン・ジョンは残すところエミー賞を、
シンディ・ローパーはアカデミー賞をとれば、EGOT達成となります。
 
E(エミー賞)
エミー賞はざっくりいうと、テレビ番組に贈られる賞です。
対象部門の分類方法は様々で、
・放送時間による分類(プライムタイム、デイタイムなど)
・コンテンツ種別による分類(ドラマ、スポーツ、ニュース、ドキュメンタリーなど)
・その他、制作技術や放送機器・技術など
上記のような分類で各賞が贈られます。

トロフィーはこんな感じ。
EmmyAwardsTrophy

このトロフィーの女性像はエミーと呼ばれています。
元々、エミー賞はテレビ業界のエンジニアたちが
ブラウン管のことを「IMMY」と呼んでいたのが語源で、
このトロフィーに置かれた女性像もいつしか「エミー」と呼ばれるようになりました。
 
G(グラミー賞)
グラミー賞は楽曲クリエイターに贈られる賞です。
この賞は比較的日本でも認知されている賞ですね。
毎年趣向をこらした演出が話題になります。

・主要4部門(最優秀レコード賞 / 最優秀アルバム賞 / 最優秀楽曲賞 / 最優秀新人賞)
・音楽ジャンルでの分類(ポップ、トラディショナル、ロック、R&Bなど)
・その他、映像音楽や作詞作曲、製作技術者など
上記のような分類で各賞が贈られます。

トロフィーはこんな感じ。蓄音機の形を模したものです。
GrammyTrophy

O(オスカー/アカデミー賞)
オスカーはアカデミー賞のことです。
この賞が一番日本で認知度が高い賞なのかなと思います。
みなさんご存知の映画界の最高峰アワードで、
トロフィーは「オスカー像」と呼ばれるので、
「オスカー賞」と呼ばれることもあります。

・作品を対象とした賞(作品賞、短編アニメ賞、長編ドキュメンタリー賞など)
・キャストを対象とした賞(主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞など)
・スタッフを対象とした賞(監督賞、美術賞、衣装デザイン賞など)
上記の分類で賞が贈られます。

トロフィーはこんな感じ。
いわずと知れた「オスカーさん」です。
どうしてこの男性像のことをオスカーと呼ぶようになったのかは諸説あります。
OscarTrophy

T(トニー賞)

トニー賞は演劇&ミュージカル作品に贈られる賞です。

基本的に対象期間にブロードウェイで上演されたものが対象ですが、
過去にはD.C.アリーナステージ(1976)、
La Jolla Playhouse(1993)、アトランタのアライアンスシアター(2007年)など、
ブロードウェイ外で上演された作品も受賞しています。

2017年のトニー賞については、こちらにまとめておきました。

日本での認知度はあまり高くないのですが、
アメリカではとても権威ある賞です。

舞台出身の基礎ができていないと、映画もドラマもできないよね?
という考え方が日本より強いかもしれません。

2016年、アカデミー賞の演技部門の候補者(受賞者ではなく!)が全て白人でしたが、
対照的にトニー賞では黒人系、ヒスパニック系、アジア系の俳優が
多くノミネート&受賞するので、比較的フェアな賞であるというイメージが強くなりました。

・作品を対象とした賞(演劇作品賞、ミュージカル作品賞、リバイバル作品賞など)
・キャストを対象とした賞(演劇主演男優賞、演劇主演女優賞など)
・スタッフを対象とした賞(脚本賞、オリジナル楽曲賞、振付賞など)
上記の分類で賞が贈られます。

トロフィーはこんな感じ。
中央に配置された円形のメダルには、片面にドラマ・マスクが、
もう片面には第二次世界大戦中にアメリカの各都市で軍人にエンターテインメントを提供し、
今の演劇の原型をつくったアメリカン・シアター・ウィングの
共同設立者であるアントワネット・ペリーのイメージが刻まれています。
彼女のニックネームがトニーだったので、トニー賞という名前になったわけです。
 
TonyTrophy

最後に
いかがでしたか?
数多くある作品の中で、エッセンスだけを知ることができるのがアワードのいいところ。
エンターテイメントは生活に絶対必要なものではありませんが、
だからこそ、人生に彩りを添えてくれるものでもあります。
みなさんが素敵な作品に出会えますように。