ソワレを待ちわびて

金曜日の夜、いつもより少しだけドレスアップして舞台を観に行く何とも言えないワクワクが大好きです。時々トニー賞作品を観劇にブロードウェイに行くので、現地のレポートもします。ミュージカル、歌舞伎、舞台を中心につれづれと。

2017年09月

ベット・ミドラーが71歳にして、ブロードウェイ初主演を果たした「ハロー・ドーリー!」。
HelloDolly

2017年6月11日、彼女がトニー賞のミュージカル主演女優賞を手にした、というニュースは本当に嬉しく、全ての年齢を言い訳に新しい何かにチャレンジしていない私も含めた大人たちを奮い立たせるニュースでした。
 
ベット・ミドラーは、薬物中毒で死してなお女性ロックスターのカリスマとなったジャニス・ジョプリンをモデルにした映画「ローズ」でゴールデングローブ主演女優賞を、またその主題歌でグラミー賞を受賞したシネマスターとして有名な方。受賞歴でいえば、ゴールデン・グローブ賞4回、グラミー賞3回、エミー賞3回という、大御所中の大御所。そんな彼女が御歳71歳にしてブロードウェイの主演にチャレンジし、トニー賞に初ノミネートされたわけです。

 
NYCを闊歩する評論家たちの下馬評でも、ミュージカル主演女優賞は彼女で決まりだろうとコメントを出しまくるプレッシャーの中、見事勝ち取りました。
 
ハロー・ドーリー!は1964年にキャロル・チャニング(Carol Channing)により初上演された作品で、2017年はリバイバル作品賞も含めた4部門で受賞を果たしているわけですが、実は元々、キャロルではなく、ブロードウェイの女王、エセル・マーマン(Ethel Merman)に当て書きされた曲なんです。
 
結果、キャロルが演じるわけですが、これが大当たり。彼女のようなコメディカルなドーリーは今後復活することは難しいだろうと言われていた、この難役をベット・ミドラーが見事に復活させた(人によってはキャロルよりもドーリーのキャラクターを浮き彫りにした!と絶賛)とブロードウェイを大興奮の渦にしているのです。
carolchanning

チケットの印刷が追いつかない!ReSaleサイトでチケットが高騰している!と大騒ぎのこちらの演目。実は何日か代打でドナ・マーフィー(Donna Murphy)が主演の日があったものの、その日はチケットが売れ残るという事態になったそうです。ドナも「王様と私」でトニー賞をとったような有名女優なのにです。それぐらいベット・ミドラーありきの作品になっているハロー・ドーリー。
 
今回のNYC訪問でどうしてもスケジュールがはまらず、行けなかったのが悔やまれる。。。ベットが出演している回を必ず、近日、観に行きたいと思います!
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エヴァ・ノブルザダを知っていますか?
2017年トニー賞でミュージカル主演女優賞にノミネートされたニュースター、エヴァちゃん。
eva_misssaigon

高校在学中にミュージカルコンクールで見出され、そのままミス・サイゴンの主演に大抜擢。
プロデビュー作品でそのままトニー賞ノミネートされるという逸材。

eva-noblezada-tony-awards-2017

どうしても彼女の演技を一目見たくて、行ってきました、ブロードウェイ。
MISSsaigon
 
一発でトニーにノミネートされるってことは、まずは圧倒的な歌唱力か何かがあるんだろう、と勝手に思い込んで臨んでみました。が、もちろん歌はうまい。うまいけど、どちらかというと演技派といった印象です。
 
逆にその年齢(2017年ノミネートされた年齢は21歳!)で、戦中戦後に、我が子を抱き、守るために殺人を犯し、その子の未来を築くために自死を選ぶ母。こんなにも難しい役を作り込めるなんて、末恐ろしさしか感じませんでした。
 
私は張り切って前列に席をとったので、全く気になりませんでしたが、他の方に聞いてみると、少し後列のほうだと声量が気になるそうです。ただ、さすが若いので、舞台を重ねるごとに改善されているという噂も。この記事を公開するころには、全然気にならない可能性のほうが高いと思います。
 
ミュージカル俳優の井上芳雄さんは彼女の歌い方を絶賛してましたね。「あんな上手な口の開け方(歌い方)をしてたら、ノド絶対潰さないでしょ」って。ここからは私見ですが、歌い方が上手い分(頑張らなくても音程がキマる)、自然に表現に集中できるから演技が際立つのかなぁと。ぜひ、成長著しい彼女を生で観ていただきたいです!
 


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毎年のトニー賞の楽しみといえば、その年、話題になった作品の生パフォーマンス!
   
舞台装置だけで1作品あたり1000万円かかるとも言われています。
それを毎年約10作品上演するのですから、豪華ですね。
  
客席側にドレスアップして座っている候補者が、パフォーマーとしてもステージに立つので、出演者は忙しそうですが、視聴者としては受賞発表と同じくらい楽しみな時間です。
  
2017年は以下の9作品が演じられました。(英タイトルアルファベット順)

バンドスタンド(BAND STAND)
ベスト振付賞を受賞したバンドスタンド。退役軍人がスイングバンドを組むという設定のお話で、出演者自身が楽器を演奏し、歌にダンスに、と非常に華やかな作品です。リチャード・オベラッカー(ラスベガスで上演されているシルク・ドゥ・ソレイユの「KA(カー)」のミュージカル・ディレクター)が全ての楽曲を書き下ろしたことでも話題となりました。
 
BANDSTAND (Broadway) - "Nobody" [LIVE @ GMA]


カム・フロム・アウェイ(Come From Away)
9.11、NYに着陸予定だった38機の飛行機が、急遽カナダにある小さな街に緊急着陸した際の実話をもとにした作品。100人を超える役数を、舞台演出や衣装替えなどもなく、12人の役者が演じ分け、主役を置かず、アンサンブルミュージカルの新しい形としても話題になり、ベスト演劇演出賞を受賞しました。(詳細はこちら)トニー賞では、代表的な「WELCOME TO THE ROCK」を上演。

Come From Away: "Welcome to the Rock"


ディア・エヴァン・ハンセン(Dear Evan Hansen)
ベストミュージカル賞を含めた6部門で受賞した本作品。
トニー賞でのパフォーマンスは、当然のことながら、主演のベン・プラットが歌い上げる「Waving Through a Window」を上演しました。この作品については好きすぎて、いろいろ記事を書いているので、こちらにまとめておきました!

Dear Evan Hansen: "Waving Through a Window"


ファルセットス(Falsettos)
1992年にブロードウェイで初演されたリバイバル作品。2017年はリバイバル作品賞を含め、5部門でノミネートされました。
1970年代、まだLGBTやエイズというものが認識されていなかった頃、ゲイに目覚めた父親が彼氏と駆け落ち。母親は相談していた精神科医と再婚、近所にはレズビアンカップルが住んでいるという異色な環境の中で成長する少年が主人公。父親の彼氏にも少し慣れてなつき始めた矢先に、彼がエイズにかかっていることがわかります。様々な愛の形を目で見て、心で感じながら、多様性を受け入れていく少年のお話です。トニー賞では2幕のはじまりの曲「A DAY IN FALSETTOLAND」が上演されました。

a day in falsettoland tony awards but it's my fav parts


恋はデジャ・ヴ(Groundhog Day)
1993年に公開された人気映画の舞台ミュージカル版で、7部門でノミネートされました。
傲慢なお天気キャスターが何度夜を超えても同じ日に戻ってしまうという物語。
どうせ過去に戻って悪さを帳消しに出来るし、未来を知っている彼は、様々な悪事をはたらいたり、上手に女性を口説きますが、気になっている女性プロデューサーRitaとの仲だけはどうしてもうまくいきません。何度も過去に帰るうちに、死ぬことすら許されない恐怖に怯える彼がとった行動とは?!
実際にブロードウェイまで足を運んで観てきましたが、
Dear Evan Hansenベン・プラットと最後まで主演男優賞を争ったアンディ・カールが、歌が異常にうまく、かつ「お調子者のモテ男」を絶妙に演じていて、楽しい作品でした。ミュージカルの王道をいくファンタジックコメディです。トニー賞では「Seeing You」を上演してくれました。

Show Clips: GROUNDHOG DAY starring Andy Karl


ハロー・ドーリー!(Hello,Dolly!)
今回で4度目のリバイバルとなりました。仲人業を営むドーリーが、仕事にかこつけて自分を売り込んで再婚を目論むミュージカルコメディで、往年の大スター、ベット・ミドラーがブロードウェイ・ミュージカル初主演で、ミュージカル主演女優賞を受賞したことでも話題に。(詳しくはこちら
ブロードウェイ作品としては非常に珍しく、メディア向けの素材として提供された舞台宣伝写真は1枚だけという強気なプロモーション。それにも関わらず、チケットは連日ソールドアウトの大盛況。最前列の価格がなんと$750まであがりました。
動画の制限が非常に厳格なので、ベット・ミドラーのものは見当たらず、過去のもののハイライトを引っ張ってきました。

Hello Dolly! (show highlights)


ミス・サイゴン(Miss Saigon)
ベストリバイバルミュージカル賞と主演女優賞でノミネートされたミス・サイゴン。
ベトナム戦争のあと、帰国してしまったアメリカ兵の子を出産したキム。米兵の彼がいつか迎えに来てくれると信じて待つ彼女のもとに、元婚約者であるベトナム軍人が訪れ、息子を殺そうとするところを止めようとして殺してしまうシーンで歌われる「THIS IS THE HOUR」と「I'D GIVE MY LIFE FOR YOU」を上演しました。
若干21歳でブロードウェイに新星のごとく現れた女優エヴァ・ノブルザダが、命をかけて息子を守る母親の執念と決意を力強く演じていました。
 
Miss Saigon  - "I'd Give My Life For You"


グレート・コメット(Natasha, Pierre & The Great Comet of 1812)
2017年、最多となる12部門にノミネートされた作品です。
レフ・トルストイによる大河歴史小説「戦争と平和」をポップオペラミュージカルに仕立てた作品。
ステージが劇場全体の中心にあり、会場全体を演出に使った、今流行のイマーシブプレゼンテーション(観客巻き込み型コンテンツ)となっており、この作品のために劇場を改築して臨んだことでも話題です。
主演は歌手のジョシュ・グローバンがつとめ、歌唱力だけでなく、演技力でも評価されました。
(実はジョシュ・グローバンは歌手になる前、高校生時代に屋根の裏のヴァイオリン弾きでミュージカル主演をつとめているので、演技もできるのです)
トニー賞のパフォーマンスはメドレーを上演しました。

The Great Comet - 2017 Broadway Trailer


Josh Groban in Fiddler On The Roof

ウォー・ペイント(War Paint)
世界中の女性を魅了する化粧品ブランド「ヘレナ・ルビンスタイン(Helena Rubinstein)」と「エリザベス・アーデン(Elizabeth Arden)」を創設した二人の女性の物語。二人は熾烈なマーケティング戦略を打ち続けるライバルである一方、あまり裕福でない生い立ちで、まだまだビジネスの世界に女性が少ない時代に女性であるがゆえの世間からのバッシングを受けるという共通点をもちます。多くを犠牲にして事業を成功させていく二人の人生を丁寧に描く作品です。裏方はTeam Grey Gardens(
作曲: Scott Frankel, 作詞: Michael Korie, 脚本: Doug Wright and 演出: Michael Grief )と盤石な体制で、ヘレナを演じるパティ・ルポーンとエリザベスを演じるクリスティン・エバーソールがともにミュージカル主演女優賞でノミネートされました。二人ともトニー賞を2回受賞している大女優で、この二人のデュエットとソロが、目白押しという豪華な演出も話題になりました。トニー賞では「Face to Face」という曲目を上演しました。

Show Clips - WAR PAINT, Starring Patti LuPone and Christine Ebersole



最後に
いかがでしたか?ブロードウェイに行って、観てみたい作品に出会えましたか?
1年に1度のブロードウェイのお祭りでもあり、アカデミーやグラミーよりも、人種や性別に関係なくチャンスのある権威ある賞と言われているトニー賞。
ぜひ一度、NYCに足を運ぶ価値、ありますよ!

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2017年、映画界とミュージカル界を席巻した二人といえば、このベンジ・パセック&ジャスティン・ポール。Pasek and Paulとしてセットアップして語られるこの二人。
BenjPasek_JustinPaul_tonyawards
二人はミシガン大学の新入生時分から一緒に音楽制作活動を始め、ともに2016年にミュージカル演劇プログラムを卒業しています。名門として多くの卒業生をブロードウェイに輩出していますが、この二人もそうだったんですねー。通常、パセックが歌詞を執筆し、ポールが作曲することが多いようですが、彼らは合作としてクレジットを表記する方針をとっています。
  
2016年に公開されて、大ヒットを記録したミュージカル風映画「ラ・ラ・ランド」の「City of Stars」でオスカー&ゴールデングローブ賞を受賞し、


その勢いのまま、Dear Evan Hansen でトニー賞ベストスコア賞を受賞するという快挙!
プロモーションでよく使われるこの「Waving Through a Window」はもちろん、


とにかくDear Evan Hansenの劇中曲は、全てが名曲。アルバム買って、私、相当何回も聴いちゃってます。

 
ご本人が歌っているムービーはこちら!う、うまい。

そして!2017年7月にディズニーがD23 EXPOで正式に発表した、2019年公開予定のガイ・リッチーによる実写版「アラジン」の作曲チームにこの二人もアサインされてます。
 
ジーニー役にウィル・スミスがキャスティングされたことも話題ですよね!公開が楽しみです!
‘Aladdin’: Will Smith Posts First Cast Photo From Set
aladdin_WillSmith

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2017年のトニー賞を何回かに分けて、まとめます。
この記事では注目すべき司会者について!

2017年の司会はなんとケヴィン・スペイシー!

HOUSE of CARDSで時の人となったケヴィンは1991年にトニー賞を受賞している歌って踊れる俳優。
ケヴィンならではの演出が盛りだくさんでしたね!


Opening ActではEvan Hansenと同じ衣装のブルーのポロシャツ&ギブス(ただしサインは#HOST笑)で登場!爪をかみながら、コミュニケーションが苦手な男の子、Evan風に視聴率を気にしてました。
 
 Tony Awards 2017: Kevin Spacey Parodies Several Broadway Hits in Opening Number
tonyawardskevinspacy
 

賞の途中でクレアとダグも出てくる、大盤振る舞い。
 
'House of Cards' Stars Kevin Spacey, Robin Wright, Michael Kelly Take the 2017 Tony Award Stage in Characte
tonyawards2017houseofcards

ケヴィンのビル・クリントンのモノマネも最高でした。TIME誌の「世界で最も影響力のある100人のリスト」にベン・プラットが入ったことで、ヒラリー・クリントンが入れなかったことをいじると、ベン・プラットは恐縮して椅子に沈んでしまいます。そして、「ショーを観たけど、君は彼女より歌はうまいけれど、偽メールアカウントを作るのは彼女のほうが得意だよ」と風刺ジョークまで。

 

早くHOUSE of CARDSの新シーズン始まらないかなぁ。。。。

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2017年、ブロードウェイの旬な男といえば、ベン・プラット。
 
TIME誌で世界で最も影響力のある100人に選ばれ、(式典の最中にケヴィン・スペイシーにいじられてました)2017年トニー賞の主演男優賞を受賞しましたね。
Dear Evan Hansenの主演を務める彼をこの目で観てきました。
benplatttonyaward

決して男前という感じではない、というより、どちらかというモテなさそうな雰囲気なんですが、
彼が舞台に立っただけで悲鳴にも似た黄色い声援が飛び交うという旬ぶり。じゃ、色物なのかというと全然。
 
呼吸をするように、演技し、歌い上げる天才的な俳優、ベン・プラット。
 
Evan Hansenは人とのコミュニケーションが苦手で、自分に自信がもてない思春期の青年、という難しい役どころ。
独特な「目線が合ってるはずなのに合わない感じ」を織り交ぜながら、複雑な感情を歌い上げる「Waving Through a Window」はプラットの真骨頂。
 
「恥ずかしい想いをするくらいなら、初めから音をたてずに去ろう。誰かに気づいて欲しいけど、僕は本当に音をたてたのか?(存在をあらわしてるのか?)※意訳です。詳しくは別記事で。」

といった葛藤を綴った曲の最中に憧れのゾーイに
「お兄ちゃんが暴力ふるってごめんね」と話しかけられ、
「ね、ギプスにサインしてよ。」
「え?(声が小さくて聞こえなかった)」
「ん?何も言ってないけど?」
というやりとりがあります。
 
Dear Evan Hansen: "Waving Through a Window"


ベン・プラットはThe Book of MormonでEledr Cunningham役としても出演してたみたいですけど、その時は新星あらわる!みたいな噂は聞かなかったので、やっぱり、ふっと突然、神様が「あたり役」を下ろすんでしょうね。
 
ちなみに私がThe Book of Mormonを観た時は、Josh Gadが演じてました。
joshgad
 
父親はMarc Plattという(詳しくはリンク先のwikiでチェックしてください)オリオン・ピクチャーズ、トライスター・ピクチャーズ、ユニバーサル・スタジオ、3社の映画スタジオのプロダクション・プレジデントを務め、就任中には「プリティ・ウーマン」などのヒット作を生み出します。
独自の制作会社であるMarc Platt Productionsを率いる業界有名人で、ブロードウェイではWickedのプロデューサーでもあります。ハリウッド、ブロードウェイ、どちらでも大御所位置にいる方はなかなかいません。
 
七光りではなく、ただただサラブレッドであるということを証明したベン・プラットの舞台を是非たくさんの方々にみていただきたいです!


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